先日、フリーコースの生徒さんが色紙作品を仕上げられました。

当コースは、段級位にとらわれず、書を通じて多様な表現を追求したい生徒さんのためのコースです。今回は、旅先で出会った文字にインスピレーションを受け、急遽「波紋」を題材として制作に取り組みました。
古典から生まれる自由な発想
当初は、優美な隷書『曹全碑』の臨書を予定し、練習を重ねていました。しかし、出先で出会った「波紋」にインスピレーションを感じ、制作直前に題材を変更。
隷書の筆意を序盤に残しつつ、後半は文字通り流れを変え、生徒さん独自の表現へと発展させました。
「途中で変更したため、線に迷いが出た」と生徒さんは謙遜されていましたが、私は、純粋な感動や強い思いが込められた書こそが、何物にも代えがたい価値を持つと考えます。
作品は必ずしも「整った文字」である必要はないと思っています。
試行錯誤の跡は、作品に深みと生命力を与えてくれます。
光を纏う素材選び
作品には、グラデーションにラメが散りばめられた色紙を使用しました。
墨が乾くと、繊細なラメが美しく浮き上がり、「波紋」の力強い表現と、背景の幻想的なきらめきが絶妙な調和を生み出しました。
書を愉しむということ
生徒さんが「とても楽しい」と仰ってくださることが、何よりの喜びです。
技術の追求も大切ですが、心のままに筆を動かし、表現を愉しむ姿勢こそが、書の道を長く歩むための原動力となります。
次は年賀状に挑戦です。
