「最近、うちの子やる気がないみたいだけど、通わせていればそのうち上手くなるかしら……」 そんな風に感じている親御さんに、今日は少しだけ、指導現場の本音をお話しさせてください。
何かを習得しようとする時、あるいは子供を習い事に通わせる時、私たちはつい「どこに通うか」「誰に習うか」という入り口に目を向けがちです。
指導者として、預けてくださる時間や対価に対して、誠実に、そして最大限の結果でお応えしたいという思いは常に持っています。しかし、現場で日々向き合う中で痛感していることがあります。
それは、「本人が自ら向き合おうとしない限り、教える側がどれほど言葉を尽くしても、上達には結びつかない」という厳しい現実です。
例えば、必要な準備を整えてこない。 お喋りをしたり、ただその場に座って、時間だけが過ぎるのを待っている。 そんな状態では、どんなに声がけやアドバイスをしても、残念ながら何も身につきません。
もちろん、お子さんのやる気を引き出し、前向きな気持ちにさせることも指導者の大切な役割の一つだと自覚しています。しかし、その働きかけにも限界があるのが実情です。
習い事は「受動的なサービス」ではなく、教える側と学ぶ側の双方がエネルギーを出し合って初めて成立するものです。
本人が自ら取り組んで初めて、指導者の言葉も「技術」として身についていきます。
本人にやる気がなければ、せっかくのお稽古の時間も、本来得られるはずの成果に結びつけることができず、指導者として非常に心苦しく、もどかしい思いを感じてしまいます。
やる気が出ない時期があるのは、誰にでもあることです。
けれど、限られた時間をただ消化するだけにするのか、それとも、わずかでも成長の糧にするのか。
それを決めるのは、指導者だけでなく、なにより「学ぶ本人」なのだと感じています。
