「翻訳」と聞くと、多くの人は、日本語を英語に変えるような言葉の置き換えを思い浮かべるかもしれません。
しかし、翻訳とは「ある形で表現されたものを、別の形で理解し直すこと」だと考えています。
この視点を持つだけで、学びの深さや理解の速さは大きく変わるように感じます。
学びは翻訳から始まる
例えば、算数は翻訳の一つです。
「りんごが3つあって、2つもらった。全部でいくつでしょう?」という日常の出来事(日本語)を、
3 + 2 = 5 という数式に翻訳することができるかどうか、が最も大切です。
数式に翻訳することで、誰が計算しても同じ答えにたどり着く再現性が生まれます。
また、音楽も翻訳です。
感情や風景、空気感を、
音程やリズム、和音といった音の表現に置き換えることで、目には見えないものを伝えることができます。
このように、頭の中にある感覚や経験を別の形に置き換えて理解できる人ほど、学びがスムーズに進んでいきます。
理論と感覚、人それぞれ
人には、理論的に理解することが得意な人もいれば、感覚的に理解することが得意な人もいます。
両方を時と場合で使い分けることもあります。
理論的に理解することは、考えを整理し、認識を共有しやすくし、再現性を高める力があります。
一方で、感覚的に理解することが得意な人は、擬声語や擬態語を使ったり、身近なものに例えたりすることで、イメージを広げながら理解を深めることができます。
どちらが正しいということではなく、人それぞれです。
教えることも、学ぶことも翻訳
教育においても同じことが言えます。
本来、教えるとは、自分の言葉や価値観をそのまま伝えることではなく、相手が理解しやすい言葉やイメージに翻訳して伝えることだと思います。
しかし現実には、すべての指導者が、相手にとって最適な形で説明できるわけではありません。
相手が理解しやすい言葉やイメージを見つけること自体も、簡単ではないのです。
そのため、自分の言葉や感覚だけで教えてしまい、理解できない人を責めてしまうこともあるかもしれません。
だからこそ、学ぶ側にも「自分の中で翻訳する力」が大切になります。
教わったことをそのまま受け取るのではなく、
自分の経験や感覚、イメージに置き換えながら理解していくこと。
それができるようになると、学びのスピードは大きく変わっていきます。
自分だけの理解の方法を知る
大切なのは、どちらが正しいかではなく、自分の中にある感覚を知ることです。
どのような言葉やイメージが理解しやすいか。
それが、自分らしい表現や学びにつながっていくのだと思います。
あなたは、理論とイメージ、どちらが先に浮かびますか?
