「子どもの字が汚い」「もっと丁寧に書いてほしい」と思う方。
「キレイな字を書く」ことと「丁寧に書く」ということは厳密には違います。
「キレイな字」は正しく整った字。
「丁寧な字」は、意識だと思います。
「キレイな字」を書けるようになるためには、字形やバランスなどをしっかり学ぶ必要があります。
「丁寧な字」は丁寧に書くこと。丁寧に書こうという意識を持って字を書くことです。
雑、適当、という印象を受ける字は、とにかく急いで書いている場合が多いです。
そこにある意識は「早く書きたい」「大体読めれば良い」「めんどくさい」
大人でも子どもでも、字の重要さや優先順位は人それぞれです。
字を丁寧に書くということは、丁寧にという意識を持って、ゆっくり書くということでもあります。
丁寧に書くという意識の”エネルギー”、ゆっくり書く”時間”
ほぼ無意識で小さなものですが、この時間と労力をどう感じているか。
気持ちを制する(コントロールする)ことができるか。
普段字を書く時、目的は「字を書くこと」ではないことが多いです。
勉強をするために「字を書く」
何かを伝えるために「字を書く」
記録を残すために「字を書く」
そもそも文字は「言葉・言語を伝達し記録するために線や点を使って形作られた記号」ですから。
他に目的がある状況下では、字のキレイさ・丁寧さの優先順位は低くなりがちです。
ちょっとした労力や時間でも、他の事に費やしたいと思うからです。
そして、読む人のことを意識しているか、自分自身の美の意識(自分の字を見て自分がどう感じるか)も影響します。
習字やペン字のお稽古は、「字を書くこと」が目的になります。
正しく整った字を書くことが第一目的で、意識や時間を全て「字を書くこと」に充てます。
少しでも字だけに向き合う時間を持つと、字に対する意識が変わります。
字の存在感が大きくなります。
また、「丁寧に書こう」「キレイに書こう」と自分で思うためには、良い体験・嬉しい経験(メリット)も大切です。
級や段の取得、賞を貰った、友達や先生などに褒められたなど、人からの評価を実感することは、やはり嬉しいことであり、プライド(誇り・自尊心)にもなります。
読み手からの反応があると、自分の字に対する意識が芽生えます。
「丁寧な字を書いてほしい」と思ったら、字に対する意識を持たせて欲しいと思います。
・習字やペン字を習う(字に向き合う時間を持つ。先生から字に対する意識の影響を受ける。)
・書いた字に対して反応する(あまり貶さない方向で)
・手紙のやり取りをする(慣れあいすぎない相手。丁寧な字で書きたいと思わせる相手)
・人に見せる機会を作る(掲示を書く、飾るなど)
やはり「字は人なり」「字は心」
丁寧な字には意識が大切。キレイな字には学習が必要。
意識を持たせる方法、他にも思いついたら追記します。